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V ポート

「Vポート」の建設はなぜ難しい? その2

「Vポート」の建設はなぜ難しい? その2

都市型「屋上Vポート」はどんなビルにできるのか

世界中で優秀な科学者や技術者が「空飛ぶクルマ」の実用化に向けて精力的に研究・開発を続けていますが、「空飛ぶクルマ」にはどうしても解決できない致命的な問題があるのです。それは“騒音問題”です。

「空飛ぶクルマ」はヘリコプターと同じ「回転翼」によって浮力を得る乗り物です。数百キログラムから数トンもの機体を浮かせるのですから回転翼が起こす風と騒音は非常に大きなものになります。ヘリコプターはエンジンで翼を回すのに対し、「空飛ぶクルマ」はモーターで回すので騒音は小さくなりそうなのですが、なかなかうまくいかないのです。 ヘリコプターの回転翼直径は10メートルから15メートル程度のものが主流ですが、「空飛ぶクルマ」の多くは「多翼機」です。小さな回転翼を複数持つことで浮力を得ます。「大きな1組の回転翼」と「小さな複数の回転翼」を比べたら大きな1組の回転翼の方が騒音は小さくなります。 

つまり「空飛ぶクルマ」はヘリコプターと比べると「エンジン音はなくなる」のですが、「風切音は大きくなる」のです。トータルするとヘリコプターと同程度の騒音が懸念されるということになります。 この騒音問題を回避するためには「屋上Vポート」は近隣ビルの中で最も高いビルの屋上にしか設置できないことになるでしょう。

低い場所への着陸は近隣ビルに騒音が

「屋上Vポート」を作るチャンスは多くない大規模ビルの建設は2~3年に1棟

現在の東京を見渡しても「このビルの屋上に『Vポート』があったら利用されるだろうな」と思われるビルは数えるほどしかありません。「六本木ヒルズ森タワー」、「東京ミッドタウン」、「東京都庁」、「渋谷スクランブルスクウェア」「サンシャイン60」などです。

しかし、残念ながらこれらのビルにこれから「Vポート」を設置することは無理でしょう。「Vポート」を造るにはビルの基本設計時にすでに設置に向けた準備をする必要があるのです。「Vポート」が設置できるような大規模ビルは大都会東京でもせいぜい2年〜3年に1棟程度しか建設されないでしょう。そのため我々は「空飛ぶクルマ」が利用される将来に備えて、数少ないチャンスを今逃してはならないのです。

大規模ビルの寿命は非常に長く、例えばニューヨークを象徴するエンパイアステートビルは2025年現在で94歳、霞が関ビルは57歳です。これからの大規模ビルは計画から着工まで10年はかかり、完工したら100年近くは利用されると思っていいでしょう。大規模ビルに「Vポート」を設置するチャンスは非常に少ないのです。

エンパイアステートビルは94歳に
霞が関ビルは57歳に(写真=共同通信社)