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【ヘリポートの基礎知識】ヘリポートって何?|よくある疑問に答えます

【ヘリポートの基礎知識】ヘリポートって何?|よくある疑問に答えます

「ビルの屋上にあるあのマークは何だろう?」「ヘリポートって、ただの広い場所のこと?」普段の生活の中でふと抱いた、そんな素朴な疑問からこのページを開いた方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、よくあるヘリポートに関する基礎的な疑問にお答えしていきます。

なぜヘリポートが必要なの?

ヘリポートとは、ヘリコプターが安全に離着陸するために、目的を持って作られた場所です。ただの空き地ではなく、安全な運用ができるように、形や色、マークにも意味が込められています。

ヘリポートが設置される最大の目的は、迅速な活動と安全性の確保です。

ヘリコプターは、航空機の中でも特に小回りが利き、滑走路なしで垂直に離着陸できるため、緊急時の人命救助や災害対応に欠かせません。ヘリポートは、ドクターヘリの拠点として患者を搬送したり、高層ビル火災の際に消防隊員が活動する場所になったりします。

また、航空法に基づき、ヘリコプターは許可された場所以外での離着陸が原則禁止されています。そのため、人や物資を安全かつ効率的に運ぶための公式な玄関口として、ヘリポートは欠かせないのです。

形と大きさについて

ヘリポートの形状は、法律で「円形」や「四角形」と厳密に定められているわけではなく、最低限必要な面積と安全基準を満たすことが求められます。地上のヘリポートは効率の良い四角形が一般的ですが、ビルの屋上などスペースが限られる場所では円形に近い形状が採用されることもあります。大きさは、離着陸するヘリコプターの全長や全幅に基づき、航空法や消防指導基準で規定されています。

ヘリポートの形は様々

色について

ヘリポートの床面の色は、法律や基準によって定められています。しかし、全国一律の法律で厳密に指定されているわけではなく、国土交通省の基準や各自治体の消防指導基準などで規定されています。上空からヘリコプターが識別しやすいように、多くは白、黄、緑など周囲の環境と区別できる色で表示されています。

上空からも識別しやすいデザインに

マークについて

ヘリポートと言われてまず思い浮かべるのは、表面に描かれた「H」のマークではないでしょうか。

Hマークは「Heliport(ヘリポート)」の頭文字で、ヘリコプターが着陸できる場所であることを示しています。

「H」マークも、設置される場所や目的によって「緊急離着陸場」と「公共・非公共用ヘリポート」に分かれ、それぞれ設計強度や利用頻度の前提が異なります。そのため、単に「H」とあっても、その機能や役割は一律ではない点に注意が必要です。

Hマークの他には、Rマーク(緊急救助用スペース)や、白十字に赤のHマーク(病院ヘリポートマーク)もあります。

素材について

ヘリポートの床面材料はかつてはコンクリートが主流でした。しかし、コンクリートはヘリコプターの繰り返しの離着陸による荷重に弱いという課題や、工期の長さ等がネックになることがあります。

近年、特にビルの屋上ヘリポートでは、安全性と施工性の高いアルミデッキの採用が進んでいます。アルミデッキは軽量で建物への負担が少なく、メンテナンスフリーで耐久性にも優れるため、次世代のヘリポート素材として推奨されています。

施工時期や利用頻度は同じでも3年後にはこんなに差が出る(左:コンクリート床版 右:アルミデッキ)

まとめ

普段意識することのないヘリポートですが、その背後には、安全を確保するための細かなルールと工夫が存在します。この「基礎の基礎」の知識が、皆さんの日々の生活におけるちょっとした発見や、防災への意識につながれば幸いです。