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着陸帯の大きさ:最低基準と安全なルート確保のポイント

着陸帯の大きさ:最低基準と安全なルート確保のポイント

1. 着陸帯の大きさの基準

着陸帯の大きさの基準は、「地上ヘリポート」と「屋上ヘリポート」で異なります。

地上ヘリポートでは、運用するヘリコプターの機体投影面の「全長」と「全幅」で囲むことのできる矩形(長方形)が基本となります。

屋上ヘリポートの場合は、機体投影面の1.2倍の長さが必要とされます。 具体的なサイズ例として、BK117型機(全幅 11.0m、全長 13.03m)を構造物上に着陸させる際に必要な最低限の面積は、13.2m×15.7mです。しかし、ヘリポートとしてこの 13.2m×15.7m しか強度を持った床面積が確保できない場合、安全に利用できる進入・離陸方向は180度の2ルートに限定されます(図1)。

図1

2. 形状によるルート確保の限界とリスク

着陸帯の面積を広げたとしても、その形状によっては進入・離陸ルートの自由度は上がりません。

例えば、着陸帯の一辺のみを長くして 13.2m×20m としても、進入・離陸方向は変わらず180度の2ルートに制限されます(図2)。これは、将来的に進入表面に突出する建物が建設された場合、そのヘリポートは直ちに利用不可能となるリスクを意味します(図3)。

図2
図3

3. 着陸帯の形状と進入ルートの多様化

ヘリポートを安全に継続利用するためには、周辺環境の変化に左右されないよう、複数の進入・離陸ルートを確保することが重要です。 床面積を 15.7m×15.7m の正方形にすることで、進入・離陸方向を90度ごとの4ルート取ることができます(図4)。これにより、たとえ当初の計画ルートに突出物があっても、他の2つのルートはまだ使用可能となり、ヘリポートの運用継続性が高まります。さらに床面積を大きく確保することで、より多くの飛行ルートを確保でき(図5)、これは将来の飛行ルート確保に対する不安を少なくするための、より確実な方法となります。

図4
図5