V ポート
「Vポート」の建設はなぜ難しい? その3

HマークやRマークは使用できる?
既存の大規模ビルの屋上に「H」や「R」と示されたヘリポートのようなものがあります。「あそこに『空飛ぶクルマ』が降りられるのでは?」とお思いの方が多いようですが、実はこれらの場所は、一般的に認識されているヘリポートとは異なり、いくつかの重要な注意点があります。
災害時専用の施設であること
「H」マークは緊急離着陸場、「R」マークは緊急救助用スペースとも呼ばれます。これらは万一のビル火災の時に消防ヘリが消火活動や救助活動を行うために利用する施設を示すものであり、「ヘリポート」ではないのです。「ヘリポート」ではないため、日常的なヘリコプターの離着陸はできません。

構造上の違い
「R」マークはヘリコプターが上空停止(ホバリング)することを前提に設計されているため、着陸時の荷重に耐える構造になっていません。そのため、着陸すると破損する危険性があります。「H」マークは「R」マークと比較して強度はありますが、連続した離着陸は想定されていません。

右:Rマークは床面強度がないため着陸できず、ホバリングでの救助活動となる
空飛ぶクルマの実現に向けて、既存のインフラを活用しようとする試みは重要です。しかし、既存の「H」や「R」マークのスペースを安易にVポートとして転用することは、安全面や構造的な問題から現実的ではないと考えられます。