V ポート
空飛ぶクルマとヘリコプターの違いをヘリポートの専門家視点で解説! その1

近年ニュースなどで目にすることも増えてきた「空飛ぶクルマ」。
“次世代の空の移動手段”として注目を集めるとともに、実用化に向けていま世界中で開発が進められています。
本記事では「空飛ぶクルマ」とヘリコプターの違いを、ヘリポートの専門家視点で解説します。
「空飛ぶクルマ」とは?

空飛ぶ「クルマ」という名称から、一般的な乗用車が空を飛ぶ姿を想像する方も多いかもしれません。しかし、現在検討されている形状は、大型のドローンやヘリコプターに近いものとなっています。
正式名称は電動垂直離着陸型無操縦者航空機(eVTOL)ですが、文字通り「クルマ」のように生活に欠かせない存在となることを目指して「空飛ぶクルマ」と呼ばれています。
経済産業省は「空飛ぶクルマの運用概念」において、“空飛ぶクルマ”とは、「電動化、自動化といった航空技術や垂直離着陸などの運航形態によって実現される、利用しやすく持続可能な次世代の空の移動手段」としています。
【1:電動】
空飛ぶクルマは、見た目はヘリコプターに似ていますが、幾つかの異なる特徴を持っています。まず一つ目に、電動であることです。
現在、人を乗せて空を飛ぶことができるヘリコプターはすべて、エンジンを動力としています。エンジンの種類は、ピストンとタービンに大別されますが、どちらもガソリンや灯油に近い石油系の燃料で駆動します。ヘリコプターがエンジンを動力にしているのに対して、日本の「空飛ぶクルマ」は電動モーターを動力にしようと考えています。

航空機や自動車の動力としてエンジンはこれまで、100年以上使われてきました。しかし、複雑な構造で非常に重いうえに騒音が大きいという欠点があります。一方、モーターは構造が単純で騒音が小さいというメリットがあります。排ガスなどによる環境への負荷を考え合わせるとエンジンよりもはるかに優れていると言えます。エンジンに比べて構造がシンプルですから大量生産しやすくコストが抑えられるとの期待もあります。

ただ現状ではまだ十分に軽量で大容量のバッテリーができていません。このためどうしてもエンジンと比較すると航続距離の面で全く敵わないのです。「空飛ぶクルマ」の普及には「軽量の大容量バッテリーの開発」が欠かせない問題なのです。 皆さんご存じのようにエンジンは定期的な燃料給油が必要ですが、電動モーターを動かすバッテリーも定期的に充電が必要になります。「Vポート」に設置したチャージャーからバッテリーへダイレクトに充電するタイプのモノは簡単ですが、フル充電が完了するまでにかなりの時間がかかってしまいます。
充電の方式にはチャージとエクスチェンジがある

そのためエクスチェンジ方式も検討されています。「Vポート」には充電済みのバッテリーが常に用意されていて飛来してきた「空飛ぶクルマ」は「Vポート」でバッテリーを交換するのです。充電のための時間は不要になりますが、バッテリーは非常に重たいものですから交換の作業が大変です。充電方式に比べヒューマンエラーが起こりやすいと指摘する声もあるようです。
