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空飛ぶクルマとヘリコプターの違いをヘリポートの専門家視点で解説! その2

空飛ぶクルマとヘリコプターの違いをヘリポートの専門家視点で解説! その2

前章はこちら→ 空飛ぶクルマとヘリコプターの違いをヘリポートの専門家視点で解説! その1

垂直離着陸】

これを読んでくださっている多くの方は「ヘリコプターは垂直離着陸できる乗り物」と思っているのではないでしょうか。たしかにヘリコプターは垂直離着陸ができないということではないのですが、実は非常に苦手なのです。操縦士からは真下が見えにくく危険ですし、また垂直離陸では想定以上のパワーを使うことになり、ヘリコプターに大きな負荷がかかってしまいます。垂直上昇も垂直降下もヘリコプターには適していないのです。

最も怖いのが垂直降下時に機体が急降下する「セットリング」という現象に入る可能性があることです。セットリングによる墜落はヘリコプターの事故の中で最も多い原因の一つです。

※セットリングとは:ヘリコプターのローターから吹き降ろす猛烈な風「ダウンウォッシュ」がドーナツ状の渦となってローターの上面に戻ることを繰り返す状態。このような状態に陥ると、エンジンのパワーをいくら上げても揚力は発生せず、むしろエンジン出力の大半が渦を加速させる力に消費されてしまい、機体が急降下する。

これらのリスクを避けるためヘリコプターは斜め飛行で離着陸します。垂直移動はせいぜい離陸時1~3メートル程度、着陸時の最終垂直降下は1メートル程度になります。ちなみにヘリコプターの降下角度は1/4、上昇角度は1/8を基準に、それぞれもう少し急勾配で離着陸することになっています。 斜めの上昇と降下ですからヘリポートの周りに障害物があると危険です。そのためヘリポートの周りにはエレベータの塔屋や避雷針などの設置が難しくなることが多いのです。

ヘリコプターは斜めに進入離脱するため飛行障害となる建物が多い

一方、垂直離着陸を前提とする「空飛ぶクルマ」の「Vポート」は飛行障害のハードルがヘリポートに比べると低くなります。ただし先にも述べましたが、騒音対策は重要です。

「空飛ぶクルマ」には飛行障害物が少ない

【3:自動操縦】

「ヘリコプターの事故が多いように感じます。危ない乗り物ですよね?」という質問が寄せられることがあります。ただ実際のところ、機体の故障による墜落事故はほとんどありません。ヘリコプター自体の危険性よりも、操縦者の注意不足が事故に繋がる可能性が指摘できます。具体的には、訓練不足、疲労、過信などが操縦者の注意不足の要因として挙げられます。自動車事故の多くも、運転者の操作ミス、いわゆるヒューマンエラーに起因すると言われています。したがって、ヒューマンエラーを排除することが、事故防止において重要であると考えられます。

このことから、自動操縦を前提とする空飛ぶクルマは、ヒューマンエラーを減少させ、安全性を向上させる可能性があるという見方もあります。今後、自動操縦技術の進歩と社会的な受容が進むことで、有人操縦よりも自動操縦の方が安全であるという認識が主流になっていく可能性は大いにあります。

ヘリコプターの事故の多くはヒューマンエラーが原因

自動操縦の「空飛ぶクルマ」はヒューマンエラーを減少させる